「永遠のドラゴン」ブルース・リーを振り返るコーナー。『ドラゴン危機一発』が大ヒットしたリー。主演第二弾は『ドラゴン怒りの鉄拳』。見所、エピソードをまとめてみました(前編)。
『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年、原題:精武門 FIST OF FURY)
(内容)
しつこく中国人道場「精武館」を狙う日本人道場(室田日出男も所属)と精武館のチェン(ブルース・リー)が対決する。
屈辱&怒り |
①主役
ブルース・リーが悪の日本人と戦う映画。監督はロー・ウェイ。武術指導は『ドラゴン危機一発』に続いてハン・インチェ。この映画でリーは主演と武術指導を担当(リーのアイデアによりヌンチャクが初めて登場)。製作にも参加するようになったリー。ロー・ウェイと激しく意見が衝突。撮影終了後、リーとローの関係がますます悪化。ローは『冷面虎』への主演をリーに要請したが脚本にクレームをつけてリーは応じなかったという。
②舞台
舞台は「戦前の上海」(撮影は全て香港。ほとんどがスタジオ・セットでの撮影)。日本が中国に進出して大きな顔をしていた時代。中国人の武術道場「精武館」にしつこくイヤガラセをする日本人。精武館のチェン(ブルース・リー)が怒りを持って日本人道場に殴り込み。迫力のある戦い。ここでヌンチャク登場。日本人のやられ役としてラム・チェンイン、ウ・ミンサイらが出演。
③精武館メンバー
「精武館」の師匠の急死。葬儀で取り乱すチェン。それをただ見ていることしかできない師範(ティエン・フォン)、チェンの婚約者(ノラ・ミャオ)、門弟たち(リー・クン、ジェームス・ティエン、トニー・リュウ、マリア・イーら)。ティエン・フォンは後に『ドラゴンロード』でジャッキー・チェンのオヤジ役を好演する人。リー・クンらは『ドラゴン危機一発』に続いて登場。このキャスティングは「ゴールデンハーベスト」とリーが二本製作する契約になっていたためと思われる。
④悪の日本人
精武館を侮辱する日本人。本編には表現されていませんが、どうやら日本人は中国人がカンフーで団結して日本人に対抗することを恐れているらしい(清朝がカンフー使いを処刑した史実と同様の理屈)。日本人道場主「鈴木」を演じるのは橋本力。当時「勝プロ」に所属していた日本人俳優で、『大魔神』シリーズの大魔神役で有名。鈴木のボディガード役だった勝村淳は殺陣師で、「勝プロ」所属。勝新太郎のファンだったブルース・リー。勝に出演を依頼したが、叶わず。代わりに橋本、勝村が出演することに。橋本によると脚本がなく、ストーリーが全く分からなかったという。日本人に尻尾を振る通訳の「ウー」という男。「東亜の病人」なんて看板(結構立派でカネがかかっていそうな感じ)で精武館を侮辱。チェンの顔をペチペチするウー。その後、ウーはヒドイ目に。「ウー」を演じるのはウェイ・ピンアオ。リーの次の主演作『ドラゴンへの道』でも同じような役を熱演。
⑤演出
「東亜の病人」看板は「侮辱」としてはなかなかのインパクト。看板を持って日本人道場に乗り込んだチェン。日本人(役の中国人)を叩きのめし、看板を叩き壊して「紙を食え」「次はガラスを食わす」と脅す。その前の「チェンが二人の敵を両手で投げ飛ばすシーン」では振り回される二人が人形になっている珍シーン(『燃えよドラゴン』でハンがリーに思いっ切り蹴られるシーンでもハンが人形になっていた)。その道場の壁には「室田日出男」の名札が。日本人に追われることになったチェン。新聞売り、人力車の車夫、電話の修理人に変装(これらの変装はロー・ウェイのアイデア、とのこと)。シリアスな映画ながら、リーのコミカルな面を出す演出がそれなりにある映画。それを「面白い」と解釈するか「ツッコミどころ」と見なすか。
ブルース・リー特集(6)
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