「永遠のドラゴン」ブルース・リーを振り返るコーナー。香港に帰ってきたリー。主演第一弾『ドラゴン危機一発』。見所、エピソードをまとめてみました(後編)。
氷室(上)、未公開シーン |
⑦うかれ気分
製氷工場でチンピラたちをぶっ倒したチェン(ブルース・リー)が工場の監督に昇進。ケンカに勝ってイイ気分。行方不明になったシュウのことをすっかり忘れて行進なんかしちゃったりする。メイに「ケンカに勝って、シュウたちのことを忘れちゃったの?」と泣きながら非難されるチェン。シュウのことを尋ねるために社長に会いに行ったら酒を飲まされ(自分から一気飲み?)、朝起きたら「いかがわしい店」で、しかもメイにバッタリ出くわし、クインにはイヤミを言われるなど散々。注目は「チェンが行進するシーン」。素顔は明るい人だったリー。いつもペラペラよくしゃべって、まるで自分が中心でないと気が済まない、みたいな人だったという。楽しそうに行進するシーンは演技ではなく「素の表情」。「いかがわしい店のシーン」は香港のファンには不評だったとか(そのシーンに登場する「ウーマン」役の女性はマラリンというタイの女優)。また、リーは酒は苦手でほとんど飲まなかったという。このシーンでは酔った演技をするため、本物の酒を飲んで撮影した、とのこと。
⑧対決
夜中に工場を調べたチェンは「恐ろしいもの」を発見してしまう。「余計なことをするもんだ」ってな感じで現れたのが社長のバカ息子(+チンピラ軍団)。そして伝説の「氷室での戦い」。かなり強烈な決闘(いわゆる「ノコギリ直撃」のスチール写真が有名。このシーンが実際に撮影されたのかどうか、もファンには気になるところ)。ぶっ飛ばされた悪役が氷室の壁に人型の穴を開けるのはウケ狙い。そして社長のボンクラ息子とチェンの一騎打ち。「社長の息子」を演じるのはトニー・リュウ。ブルース・リーとは子供の頃からの知り合い。一緒にカンフーの練習をしたこともあるとか(トニー本人談)。素顔はナイスガイ。この映画では刃物を使う卑劣すぎる悪役。この映画での役どころが非常に印象が強い人。
⑨決着
ラストはチェンとカンフーの達人でもある社長との戦い。戦いのシーンはとってもリアル。パンチやキックの「キレ」が凄い。社長役を演じたのはハン・インチェ。実際にカンフーができる人で、この映画の武術指導も担当。日本では『Gメン75』でもおなじみ。ラストシーンにふさわしい対決に注目。
⑩未公開シーン
リーのファンにとって気になるのがカットされたシーン。編集的に不自然なシーンがあり、「撮影されたがカットされたのでは?」「そのフィルムは存在するのか?」というのがファンの長年の疑問。本編には入らなかったシーンとしては、リーが最後の決戦の前に女性を求めるシーン、などがあります。シナリオも途中で書き換えられたりするなど、いろいろ混乱があったこの映画。「とりあえず撮っておこう」みたいな感じでいろいろなシーンが撮影されたのだと思われます。アクション映画ではNGが多く発生しますが、そういうフィルムはどこへ行くんでしょうね? 可能な限り見てみたいものです。
ブルース・リー特集(5)
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