2022年2月20日日曜日

ブルース・リー特集(11)「懐かし映画劇場:映画ブログ」

「永遠のドラゴン」ブルース・リーを振り返るコーナー。主演カンフー作が連続大ヒット。『燃えよドラゴン』に出演する前に撮影した『死亡的遊戯』についてまとめてみました。

『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』(2000年、日本・香港映画)

ブルース・リーが格闘シーンだけを撮影して未完成に終わった『死亡的遊戯』。『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』『Bruce Lee: A Warrior's Journey』でその格闘シーンがフルに観られます。

ブルース・リー特集(11)「懐かし映画劇場:映画ブログ」

『死亡的遊戯』

1972年秋から、リーは『死亡遊戯』の撮影をスタート。そこへ『燃えよドラゴン』の企画が持ち上がり、『死亡遊戯』の製作は中断された(リーは寒いのが苦手だった、というのも『死亡遊戯』の撮影が中途半端になった理由の一つ)。撮影されたのは、格闘シーン、塔を守る格闘家たちによるデモンストレーション映像。

出演者1

ブルース・リー、ジェームズ・ティエン、チェン・ユアン(解元)がチームを組んで塔に上り、各階の強敵と戦う、というもの。各階の格闘家はダニー・イノサント、池漢載、カリーム・アブドゥル=ジャバー。チーム対抗戦のような形式ではありますが、チームは二人がかりで攻撃したりするのに対し、イノサントら「塔の番人」は一人で戦う(各階の格闘家が三人同時に相手をする「変則マッチ」形式)。一番強いのはブルース・リー。ティエンやユアンは引き立て役。リーはこの映画にサモ・ハンを呼ぶ予定だったという。何の役をさせるつもりだったのかは今となってはわかりません。ただ、リーは太ってる人が嫌いだったという。ティエンやユアンも出演させたくなかったという。しかしレイモンド・チョウの薦めで出演が決まった、とのこと。解元は78年の『死亡遊戯』が完成する直前の1977年に脳腫瘍で急逝。リーと同じ原因と年齢(32歳)での死だった。

出演者2

ダニー・イノサントは棒術が得意のフィリピン人。リーが創始したジークンドー(截拳道)を継承する者(スティーヴン・セガール『アウト・フォー・ジャスティス』でも棒術を披露しています)。池漢載(チー・ハンツァイ)はハプキドー(韓国式合気道)の達人。負ける役に難色を示したという。池は韓国大統領朴正煕のボディガードを務めたこともあるそうだ。カリーム・アブドゥル=ジャバーはNBA「レイカーズ」の名選手。リーのアメリカ時代の弟子。香港に休暇にきたところ、リーから出演依頼。撮影中、リーのハイキックが誤ってジャバーの顔面をカスり、ジャバーが激怒した、とか。コメディ映画『フライングハイ』では旅客機の副パイロット役を演じるなど、ユーモラスなところがある人でもあります。なお、イノサントによるとジャバーとリーの対決シーンの撮影がまず行われ、次いでイノサントのファイト・シーンの撮影。ジャバーはイノサントと入れ違いで香港から帰国したという。

エピソード

ジョージ・レーゼンビー(『女王陛下の007』で二代目ジェームズ・ボンドを演じた)、ベティ・ティンペイ(リーと怪しい関係だった。『Mr.Boo!ギャンブル大将』ほか)もオリジナルの『死亡遊戯』に出演する予定だったとか。あのスティーブ・マックィーンもアメリカの特別捜査官の役で出演する予定だったらしい。そうなってくるとますますリーが企画した本来の『死亡遊戯』のストーリーが気になるところ。

ストーリー

格闘シーンしかない『死亡遊戯』。どんなストーリーをリーは考えていたんでしょうね。イノサントによると、リー「知識を探求する人間物語、それが "死亡遊戯"」とのこと。塔に登る三人の男(リー、ティエン、ユアン)。彼らが目指したものは何だったのか? それは「知識」、というのがリーの説明。『燃えよドラゴン』撮影終了後に最終的な台本が完成したとされていますが、その台本は見つかっていません。ある本には「有名格闘家ハイ・ティエン(ブルース・リーの役名)の息子が謎の男にさらわれた。息子を救出するため、謎の男の指示で塔を守る強敵と戦うことを余儀なくされる」というのが本来の脚本と載っていました。しかしながら、リーのセリフ(リー「ゲームは終わった!」。外の人物「戦いはまだまだ続く」「お前は戦い続けるしかない」「死ぬまで戦うのだ」)や楽しみながら戦っている表情から想像すると、「誘拐劇」ではなさそう。楽しみながら戦う「異常なゲーム」。カネのために戦っているわけではなく、銃やナイフを使うわけでもなく。たぶん最後に残った者が「最高の武芸者」としての栄誉を与えられ、強者と戦った経験を得る。それが「死のゲーム」の目的なのではないか、と思います。「格闘シーン」は全体で39分ほど。仮にこの作品が完成したとしてもリーのファンは喜ぶでしょうが、「戦いのシーンが長すぎる映画」として普通の映画ファンには評価されなかったかもしれません。

NG

格闘シーンに注目の『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』。「リーの強さ」を堪能できる映像。カッコよく戦うシーンがキレイに編集されています。格闘シーンの撮影ではNGが多く出るのが普通。リーがヌンチャクを失敗するシーンなど、まだまだファンには公開されていない映像がたくさんあるような気がします。できれば「リーが映っている映像」は全て観てみたいところです。

ブルース・リー特集(12)

(予告編:YouTube) 

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